柴田:本回はグリフィス監督の『嵐の孤児』です。もう、グリフィス三昧です。
面倒なので監督ごとに見尽くしたろか、とか思いましてね。
岡崎:『嵐の孤児』ってまた、えらいタイトルですね。
柴田:この作品、活弁版でお届けいたします。
岡崎:????
柴田:昔、映画の上映には弁士さんがいてストーリーを語って聞かせていたというわけよ。
音楽も楽士さんの生音でさ。わたしも弁士さんの上映はみたことないんでよく知らないんですけど。
岡崎:へー。
柴田:今みたいな字幕スーパーが入るようになったのは、日本では『モロッコ』が最初なんだって。
岡崎:ほほう、映画の歴史を感じますなあ。
『嵐の孤児』 監督:D・W・グリフィス 出演:リリアン・ギッシュ、ドロシー・ギッシュ他 1921年 活弁:澤登翠
両親の死後、姉のアンリエット(リリアン・ギッシュ)は盲目の妹ルイーズ(ドロシー・ギッシュ)の 目を直すため、パリへやってくる。道中アンリエットを見かけた貴族によりアンリエットは誘拐されて 姉妹ははぐれてしまう。幸い心優しいヴォドレー騎士によって助けられたアンリエットは 妹とはぐれた場所にもどってみたが、妹がみつからない。 妹は物乞いのおばさんに拾われて、歌を歌わされて惨めな生活を強いられていた。 妹を探していくうちにアンリエットとヴォドレー騎士との間に身分の差がある恋が芽生え、 アンリエットはバスティーユ牢獄へ入れられる。が、革命がおこって出獄。 が、今度は貴族であるということでヴォドレーが捉えられ、 貴族をかくまった罪でアンリエットも捕まり、二人は絞首刑を告げられる。 その裁判を見にきていた妹とようやく再会できたのもつかの間、ギロチンにかけられるって時に、 以前アンリエットが優しくしてあげた革命の英雄ダントンが二人を救った。 ルイーズの目もなおってめでたしめでたし。 (2時間以上ある映画を要約するのは難しい・・・ しかしなかなかお目にかかる機会の少ない作品であると思うので長めに書いてみました。)
|
D・W・グリフィス傑作選 |
岡崎:活弁版、面白い!!!なんか、紙芝居を見ているみたい!動く紙芝居。
柴田:ほんまやね、達者やね、活弁士さんって。声色もコロコロ変わるし。 活弁士の澤登さんは女の方なんでリリアンの可憐な声とかが上品でいいし、 またおっさんの声もかなり低い声だしててよかったねぇ。すごいわ!!
台詞やあらすじも活弁士さん本人が考えるんやって。面白い仕事やね。
岡崎:サイレント映画を見ていると、どうしても睡魔と闘わなければならんときがあるんやけど
これは良いわ。見世物的要素が強くって。
柴田:2時間以上あったけど、おめめぱっちりで見ていられました。はい。
岡崎:・・・しっかし、どの映画みてもリリアンギッシュはなんちゅうか、不幸で大変やねぇ。
柴田:うん、この作品でも可憐でしっかり者でした。
昔の映画は清く正しいものが必ず勝つので安心してみていられますねぇ。
岡崎:うん。私もぜぇったいリリアンはギロチンにかけられないと思いました。
柴田:悪者は徹底して悪者やし。今みると人の描かれ方がちょっと単純すぎるね。
岡崎:物乞いのお婆さん、ヒゲはえてへんかった?モノクロやからそう見えたんかなあ?
めちゃ悪そうな顔で。ほんまに性悪やった。わかりやすーい。
柴田:今まで観たグリフィス作品の中ではもっとも壮大なスケールでしたね。 でも彼の作品ではもっと『国民の創生』とか『イントレランス』とかいう代表作があって、
それは11万ドルの大予算をかけていたって。
岡崎:今なら『タイタニック』みたいな感じでその規模が話題になったんや。
すごいですね、昔のサイレン時からこんなでっかいスケールで映画が作られていたなんて。
柴田:うん。この『嵐の孤児』もスケールでかいけど、でも興行的にはこけて、
ギッシュ姉妹は出演料ももらわれへんかったんやってさ。ビデオパッケージに書いてあったわ。
岡崎:へー。へー。映画の世界はばくちみたいなモンやね。当たればでかいし外せば借金だけが残るっていう。
柴田:だから今に続いている大産業になったんでしょう。映画産業は。
|