【1】 2003.10.15 【赤線地帯】監督:溝口健二
柴田:「デートで彼氏と見に行きそうにない映画を女同士で見ようということですが。」
岡崎:「はいそうです。男と見る映画と女同士で見る映画は違うと思いません?」
柴田:「あそう?」
岡崎:「私、つい男の人の好みにあわせちゃうんですよ。」
柴田:「ふーん。」
岡崎:「私が誘った映画で彼氏が退屈したら悪いなーとか思って気ぃ使っちゃうんです。」
柴田:「へえ」
岡崎:「・・・ちゃんと聞いてます?」
柴田:「聞いてます聞いてます。彼氏とは何を見るんですか?」
岡崎:「・・・タイタニックとか・・・。」
柴田:「おお。王道。」
岡崎:「だもんで、普段見ないような映画を観ましょうよ。女同士で。」
柴田:「ふふふ。じゃ、今日は溝口健二監督の【赤線地帯】。」
岡崎:「古いとこからもってきましたね。」
柴田:「いいや新しい!1950年代やもん。トーキーやもん。」
岡崎:「新しいんや・・・。」
柴田:「デートで溝口健二は見ないでしょう!絶対!!」
岡崎:「題名も【赤線地帯】ゆうてますしね。デートじゃチョット・・・ですよね。」
【赤線地帯】監督・溝口健二 出演・京マチ子、若尾文子 他
売春防止法が制定されるかどうかという頃の吉原の娼家「夢の里」が舞台。
父親の保釈金を稼ぐために働きはじめ、いつしか店のナンバーワンになった者、
一人息子を育てるために働く者、病気の夫と乳飲み子を抱えている者、
結婚して一度足を洗ったがまた吉原にもどってくる者、
父親の極道をうらんで家出して来た者・・・などなどが描かれている。
溝口健二の遺作。(雑なあらすじですなぁ。シバタ)
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岡崎:「・・・大変ですね。女の生きる道というのは・・・」
柴田:「迫力ありましたね、あの、病気の夫が首くくるのをとめたときの、奥さん。」
岡崎:「『私は死なない!女がどこまで落ちていくか見てやる!』てことをね。
叫んでましたね。身体売ってでも自分で稼いで生きてる者の強さがありましたねぇ。」
柴田:「強いねぇ。女の、母の生命力ってやつですか。」
岡崎:「強さとか気迫とかってあんまもうないですよね。私、自信ないわぁ。」
柴田:「・・・気迫が希薄か・・・」
岡崎:「!!!!!だ、ダジャレ???」
柴田:「・・・やっぱ生きていくには京マチ子(ミッキー役)くらいあっけらか〜んとしてるのがいいんやろね。」
岡崎:「あの人が京マチ子?ダイナマイト・ボディ!!!」
柴田:「くらーい話が続く中で、京マチ子があっけらか〜んとしていてよかったなぁ。」
岡崎:「うん。救われた。救われた。」
柴田:「あのシーンも良かったですね、息子に捨てられるときのあの女の人。」
岡崎:「息子の後姿を追っかけて行って・・・かわいそうでしたね。」
柴田:「息子に怒って甘えてって、弱さが出てて、いやぁ感動した。」
岡崎:「あのシーンから後半はぐぐっと集中力高かったですねぇ。」
柴田:「ラスト!!!ラストは恐かったなぁ。なんか。まだあどけない処女の少女が売春婦としてデビューする、
あのおどおどした表情で客引きしてるの!!!女のいばら道を予感させるような終わり方で・・・」
岡崎:「うんうん」
柴田:「溝口健二ってすごいなぁ。」
岡崎:「いや、世界の巨匠でしょ?国際的映画監督でしょ?売春って法律あっても結局今でもあるからねぇ。」
柴田:「そうやで。防止法やなんやいうてても新たな娼婦が誕生するねんで。なくならへんねんで。 溝口健二は結構娼家に出入りしてたらしい。その本質を感じてたんやろね。」
岡崎:「へー。人間くさい人なんですねぇ。熱い人なんや。」
柴田:「またミゾケン見ましょう。」
岡崎:「はい。」
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