【24】 2006.3.12【夫婦善哉】 監督:豊田四郎
柴田:私自身、関西人ですので、関西弁を地の文に取り込んで軽快なリズムを持った
織田作之助の小説は以前から読んでいて好きです。
織田作之助は太宰治とかの時代の作家さんです。
太宰と同じように無頼派として人気があったようですが、
なにぶん若くしてお亡くなりになったので太宰ほど有名じゃないのが残念な限りです。
でも織田作の代表作「夫婦善哉」は、映画化や舞台化されているというので有名ですね。
私もその映画を一度見てみたいと気になっておりましたわけです。
『夫婦善哉』 監督:豊田四郎
出演:森繁久彌 淡島千景 他 1955年
化粧問屋の若旦那の柳吉(森繁)は、病気の妻と娘がいたが、
芸者の蝶子(淡島)に入れあげ、駆け落ちし、家からは勘当されてしまう。
お坊っちゃんの柳吉は、いつかは父親の怒りもおさまるだろうと甘く考え、
働こうとしない。蝶子が芸者として働き、いつか柳吉に一旗あげさせてやろうと奮起する。
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夫婦善哉 |
柴田:これはなー、実に面白おまっせ。
織田作の味である大阪の風景が映像や音として伝わってくるのが何しろ新鮮何やろなぁ。
ついつい関西弁を喋りとうなる話でんなぁ。
「あんじょうようしとくなはれ」の「あんじょう」とかって、今じゃ関西人でも若人は言わんで。
まま、話としたら偉そうやけど駄目な男と、それを支えるしっかり者の女のお話。
だけどその二人のやりとりとか、動作の一つ一つが、味わい深くて可愛らしい。
柳吉を演じた森繁氏は、先日テレビのニュースに出たはりましたが、今年で92歳!
この映画の時は森繁氏は40歳前半なんですね。言われてみれば面影がありますが、
なんか、私の中ではおじいさんのイメージが強いので、こんな元気ハツラツの森繁氏は
なんかくすぐったい感じがしますが。
さすが大阪生まれとあって、肩の力のぬけた、飄々とした関西弁が実に良い。
蝶子役の淡島千景氏は、小津安二郎監督の「麦秋」で原節子氏の友人で出演してるのを見て、
現代にも通用するモダンな美人という感じがして、かなり好きでした。
「夫婦善哉」の映画を観る前から、キャストの淡島千景氏の名前を見て
「あー、こりゃぴったり」と思ったのでした。
案の定、ぴったり!きりりとしたしっかり者で、可愛らしいイメージどおり。大成功ですね。
何処までも駄目な男・柳吉を、何でそんなに好きやねん、と突っ込みたくもなるでしょうが、
女が男に惚れて尽くすっていうのは理屈やないんやろねぇ。
また、柳吉は母性本能をくすぐるんやろなぁ。
この映画をみると、恋人を大事に、ずっと添い遂げたくなります。
でも、ほんとに柳吉は駄目男なので、男の人とは見ないほうがいいかも。
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