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趣の間 プロフィール


【21】 2005.8.20 【好色一代男】 監督:増村保造
 

柴田:えー、こんちくわ。
    本日は私の部屋に岡崎さんを呼びまして、
    「4.5畳映画館」ならぬ「6畳映画館」なわけですが。

岡崎:お久しぶりですって、・・・わぁ!
    本棚の内容がえらい古めかしくなっておりますよ!

柴田:ふふふ・・・・・・・
    下鴨神社であった夏の古本まつりでね、
    買ったりました。

岡崎:(本をパラパラ・・・)なんじゃこりゃ。
    「萬事の商なひなふて、世間がつまつたといふは毎年の事なり・・・」
    読まれへんわ、こんなん。
    井原西鶴なんて社会科の授業で名前聞いたっきりやわ。

柴田:いやあ、ここをぐっと堪えて西鶴(1642〜93)を読み進めると、林芙美子(1903-51)あたりの旧仮名遣いは
    めっちゃ読みやすいように感じるで。

岡崎:はあ、そうですか。

柴田:西鶴の小説デビュー作の「好色一代男」は結構おもしろ話やねんけどなぁ・・・

岡崎:はあ、そうでしたか。

柴田:原作通りかは怪しいですが、西鶴原作の「好色一代男」映画版をレンタルしてきましたよ。



『好色一代男』 監督:増村保造
 出演:市川雷蔵 若尾文子 中村玉緒 中村鴈治郎 他  1961「年


京都の豪商のボンボン・世之介(雷様)は、女が好きで、女を喜ばすためと放蕩三昧。
けちんぼのお父さん(中村鴈治郎氏)に怒られて、江戸の支店へ丁稚奉公にやらされるも
店の金をもって女郎の身請けをする。(しかも他人の女のために)
お父さんにばれて勘当。お坊さんになるも欲が抑えられず寺を脱走。
お金がないまま京都へ帰る間に、たくさんの女と出会う。
京都へ帰るとお父さん・お母さんが臨終。莫大な大金をごっそり相続。
お国への寄付を拒んで、大金を遊女にばら撒いていたので指名手配され、
世之介は「好色丸」という舟で海外(女護島)目指して大海原へでるのであった。




 

柴田:どう?

岡崎:おもしろかった。なんか痛快時代劇人情物って感じで。

柴田:ほんと?あーよかった。

岡崎:この主人公が噂に名高い市川雷蔵なんやね。
    いい男やし、モテ男の役を演じても説得力あるわ。

柴田:雷様がこの「好色一代男」を演じてみたいと提案したそうな。

岡崎:原作と比べてどう?

柴田:まあ、原作の方はストーリーがあるわけじゃなくてエピソード集って感じなんで、
    比べてどうこうって抵抗感はあんまりなかったかな。
    原作は世之介7歳〜60歳までの話で、映画とはちがう面白さもあったんやけど、
    基本的に世之介のキャラクター勝負ってところですから。
    雷様が世之介を演じてくれていてよかったよ。
    この憎めないキャラ、ユーモア、粋な身のこなしで、雷様は適役であった。

岡崎:ふんふん。

柴田:私、お父さん役の中村鴈治郎さんも好きなんやけど。
    独特の間があって、真顔で面白い人やんね。
    原作ではたいしてお父さんって出てこおへんねんけど、
    映画ではいい味出していて、さすがやなぁ。

岡崎:あれ、真ん中へんに出てたんは中村玉緒さんやろ。
    可愛らしい娘さんで。20歳過ぎくらいやろか。

柴田:そうやね、玉緒さんが出てくるシーンは結構原作でも重要エピソードで。
    江戸時代の暗い部分も描きつつ、でも世之介は楽天的に突き進んでいって
    映画全体は明るいトーンで痛快やね。

岡崎:そう、人生って大変よね。
    結局何を大事にするかってことやろ?
    世之介のお父さんは金やし、坊主は精進、武士はあだ討ちとか。
   
柴田:で、世之介は女ってわけで。

岡崎:そう、徹底的に女で貫いている人生観は極端やけど痛快やった。
    でもたくさんの女を幸せにしたいっていうのは、
    結局どの女の人も幸せにしてへんやんって事やねんけど。

柴田:そうやなぁ。

岡崎:玉緒さんなんかお墓に埋められて掘り返されてたで。
    死に顔の笑顔、こわ〜。

柴田:人生いろいろやから、何を大事にするかっていうのは生き方に関わるし。
    どう生きるかはどう死ぬかってことに関わるなぁ。
    「かわいいおなごと死ねたら本望や」という世之介は、人生を謳歌しとるな。
    でも死んだのはみんな女のほうやったけど。

岡崎:雷様ならそんな生き方も許す。

柴田:この「好色一代男」、西鶴の処女作ですけど、迷い少なく書かれていていいんですね。
    映画でもその明るさを存分にだしててよかった。
    「好色一代男」後、やっぱお金って大事よねってこととか、
    男に生かされながら捨てられつづける女のほうの物語とか、
    この作品を書いた後に湧き上がってきた新たなテーマを「好色一代女」とか
    「日本永代蔵」なんかでかいているわけですね、西鶴先生は!

岡崎:あー、そうなんですか・・・
    またそんな、社会の時間に習ったような本の名前を持ち出して・・・
 
柴田:西鶴の「好色一代女」を溝口健二監督が映画化してるんだけど、
    こっちは対照的に暗〜く描かれているんじゃないかと。
    まだ未見ですが、そう予想されますね。

岡崎:ああ、原作は読みにくくて、今後の人生でも読むこと絶対ないんで。
    映画の方が見やすいと思うわ。
    映画の方を薦めて下さい。

柴田:そうやなぁ。ま、溝口監督作品は内容が濃くて、
   体調の良い日じゃないと難しいんで。
   「西鶴一代女」はまた機会をうかがって上映会しましょう。では。





   

 


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