【2】 2003.10.18 【東京物語】監督:小津安二郎
柴田:「今日は小津の『東京物語』を持ってきました。でもこれ、私1・2回見たんですけど。」
岡崎:「そうなんですか。」
柴田:「でも有名どころを取り上げておくと、このページのヒット数が上がるかと思ってね・・・」
岡崎:「そんな打算ありありでいいんですか!?」
柴田:「いいんです。それに映画監督の代表作といわれているものをはじめに見るのはいいでしょう。 監督の良さが伝わりやすいんでしょうね。」
『東京物語』 監督・小津安二郎 出演・笠智衆、原節子、杉村春子 他 1953年
周吉(笠智衆)・とみ(東山千栄子)夫婦は
尾張(広島県)で末娘の京子(香川京子)と暮らしている。
長男(山村聰)・長女(杉村春子)・
戦死した次男の嫁(原節子)の住んでいる東京へ夫婦で出かけたが、
子どもたちは仕事が忙しくて二人の相手ができない。
泊まる家も兄弟たちの家々をたらいまわしにされる。 血のつながらない次男の嫁だけが二人によくしてくれるのであった・・・ |
小津安二郎 DVD-BOX 第一集 |
岡崎:「・・・・・・・・・はぁ、なんか、心あらわれるような・・・」
柴田:「・・・・・・・なんてすきのない映画なんでしょうねぇ・・・」
岡崎:「親心の苦労が感じられますね。いやぁ、親孝行しなあかんなぁ。身につまされるわ。」
柴田:「親の、無償の愛みたいなのが泣けるねぇ。親は子どもに永遠に片想いしてるって感じやね。」
岡崎:「おばあちゃん(東山千栄子)と孫が遊んでるところがよかったわぁ。泣けるわあ。 『勇さんがお医者になる頃、おばあちゃんおるかいのう・・・』ってつぶやいて。 孫はなーんも知らんと遊んでて。おばあちゃんが大柄で朗らかで笑顔なんが余計泣けるわぁ。 年寄り大事にせなあかんわ。
子どもが持っている未来や可能性に相当する経験を年寄りの人はもう歩んできたんやもん。」
柴田:「ほんまやね。これね、構図の話を言えば、延々と周吉ととみの二人の姿を撮ってきてね、 熱海で一瞬とみが立ちくらみするでしょう? それで最後のとみの死を予感させるような不安感が演出されてんねんて。 あと小津独特の低いアングルからの撮影で、映画の世界に引き込まれるような仕掛けになってる。 そんな話きくと、やっぱ小津って計算し尽くしてんやわあって感心するけど、
そんな理屈関係なくしてもこの映画はすばらしい。」
岡崎:「おばあちゃん死んだんショックやわあ。あんなに元気やったのに・・・」
柴田:「ほれ、ここにも小津の術中にはまった奴が一人おる。」
岡崎:「ラストのおじいちゃんの姿に哀愁が感じられたんもよかったわ。」
柴田:「笠さんいいよね!話し方も味わい深いし。 とみの命がもう危ないと医者に聞かされたときの表情は凄い。
抜け殻みたいになって。アップじゃないねん。でも物凄く印象的な表情やった。」
岡崎:「いや、まじですごい映画やね。完璧やね。感動と感心と両方成立してる。」
柴田:「この映画によって小津はフランスあたりでも超有名みたいよ。」
岡崎:「こんな映画が日本でとられていたとは!今まで古い映画や邦画を食わず嫌いでした。
今日はそれを痛く反省いたしましたです。はい。」
柴田:「はい。私もそうでした。」
岡崎:「昔の日本語は綺麗やね。庶民でも。私も今日から『おじいさま様、おばあさま様』って言おう。」
柴田:「出かけるときは『行ってまいります』ってね。気持ち悪がられるぞ。きっと。」
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